電力火力発電ボイラ・タービン・環境対策★★☆☆☆
汽力発電所の保護装置
概要
汽力(蒸気タービン)発電所のタービン発電機には,過速度・過圧力・内部故障などの異常から機器を保護するための装置が設けられている。非常調速機・安全弁・燃料遮断弁・トリップ装置・比率差動継電器それぞれの役割と動作条件を正確に区別することが重要。特に「蒸気加減弁」と「安全弁」の混同に注意。
📖用語
非常調速機(過速度遮断装置):タービンが過速度になったとき蒸気止め弁を閉じてタービンを停止させる保護装置。定格回転数の約 110 % で作動する。
安全弁(セーフティバルブ):ボイラ内の蒸気圧が設定値を超えたとき蒸気を大気に放出してボイラを保護する弁。
蒸気加減弁(調速弁・ガバナ弁):タービンへの蒸気流量を調整し負荷に応じた出力制御を行う弁。安全弁と混同しないこと。
比率差動継電器:変流器の両端電流の差(比率)を比較し,発電機内部故障を選択的に検出する保護継電器。
トリップ装置:各種保護継電器からの信号を受け,タービン発電機を緊急停止させる装置。
汽力(蒸気タービン)発電所のタービン発電機には,各種異常から機器を保護するための装置が設けられている。
主な保護装置の一覧と機能
| 装置名 | 機能・役割 | 補足・注意点 |
|---|---|---|
| 非常調速機(過速度遮断装置) | 過速度時に蒸気止め弁を自動で閉じて蒸気を遮断する(定格回転数の 110 % 程度で作動) | タービン翼の破損防止が目的 |
| 安全弁(セーフティバルブ) | ボイラ内蒸気圧が設定圧力を超えたとき,蒸気を大気に放出してボイラを保護する | 蒸気加減弁(調速弁)と混同しないこと |
| 蒸気加減弁(調速弁・ガバナ弁) | タービンへの蒸気流量を調整し,負荷に応じて出力(回転数)を制御する | 安全弁と役割が異なり,ボイラ保護装置は安全弁が担う |
| 燃料遮断弁 | 火災・ボイラ異常・緊急停止時にボイラへの燃料(重油・天然ガス等)を緊急遮断する | |
| トリップ装置 | 各種保護継電器からの信号を受けてタービン発電機を緊急停止させる | 蒸気止め弁・燃料遮断弁を一斉操作しユニット全体を停止 |
| 比率差動継電器(発電機保護) | 変流器の電流を比較し,内部故障(巻線間短絡・地絡)を選択的に検出する | 外部事故では両側の電流が等しく動作しない(選択性) |
| 軸受保護装置 | 軸受の油温・油圧・振動を監視し,異常時にトリップ信号を出す |
間違えやすいポイント
•「安全弁」と「蒸気加減弁(調速弁)」を混同しないこと。安全弁はボイラの過圧保護装置(設定圧力超で蒸気を大気放出),蒸気加減弁はタービンへの蒸気流量を調整する制御装置であり,両者の役割を明確に区別すること。
•非常調速機は「過速度時」に動作する(定格回転数の約 110 % で作動)。速度を「制御する」装置ではなく,過速度時に「蒸気を遮断する」保護装置である。

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