電力水力発電揚水発電・水車★★☆☆☆

水車の比速度と回転速度の計算

概要
比速度(Ns)は水車の動力学的相似則を表すパラメータで、Ns = n × PH5/4 で定義される。Ns の大きさによって適用すべき水車の種類(ペルトン・フランシス・カプラン)が決まる。同期発電機を直結する場合、水車の回転速度は同期速度 ns = 6000p(50 Hz)に限定されるため、計算値に最も近い同期速度を磁極数から選び直して比速度を再計算する手順が重要。
📖用語
水車水の位置エネルギー・運動エネルギーを回転エネルギー(機械エネルギー)に変換する原動機。発電所では水車の回転力で発電機を駆動する。
比速度(Ns)水車の形式や大きさによらず、動力学的に相似な運転状態を比較するための指標。Ns = n × PH5/4 で定義される。
ペルトン水車(衝動水車)ノズルから噴射した水流をバケットに当てて回転させる衝動式水車。高落差・低流量に適する(Ns ≈ 5〜100)。
フランシス水車(反動水車)ランナ内を流れる水の圧力と速度の両方を利用する反動式水車。中落差に最も広く使用(Ns ≈ 50〜350)。
カプラン水車(反動水車)可動羽根(プロペラ型)を持つ反動式水車。低落差・大流量に適する(Ns ≈ 200〜600)。
回転速度(n)水車(または直結する発電機)が1分間に回転する回数。単位は [min-1](rpm)。同期発電機直結時は同期速度 ns に一致させる必要がある。
同期速度(ns同期発電機が一定周波数を発生するために必要な回転速度。ns = 120fp [min-1](f:周波数,p:磁極数)。
水車の比速度(比速)Ns は,水車の形式・大きさを問わず動力学的に相似な運転状態を比較するための指標(相似則のパラメータ)。
📐基本公式:水車の比速度と回転速度
比速度を求める:
Ns = n × PH5/4 [m·kW]
Ns:比速度 n:回転速度 [min-1] P:水車出力 [kW] H:有効落差 [m]
(※ [m·kW] は SI 単位ではなく電験三種での慣用表記。n を [min-1],P を [kW],H を [m] で代入したときの数値の単位系を指す。物理次元上の単位ではない)
回転速度を求める(Ns が既知の場合):
n = Ns × H5/4P [min-1]
ただし水車が同期発電機を直結駆動する場合,水車の回転速度 n は発電機の同期速度 ns に一致しなければならない(n = ns)。このため,n を自由に設定することはできず,下記の同期速度の候補から最も適切な値を選ぶ必要がある。
各水車の比速度の範囲
水車の種類比速度 Ns [m·kW]適用落差特徴
ペルトン水車(衝動水車)5〜100高落差(200 m以上)ノズル・バケット
フランシス水車(反動水車)50〜350中落差(30〜700 m)最も広く使用
カプラン水車(反動水車)200〜600低落差(10〜80 m)可動羽根
比速度が小さいほど高落差・低流量型,大きいほど低落差・大流量型の水車が適用される。
同期発電機直結時の回転速度
同期発電機が系統周波数 f の交流を発生するには,回転速度が磁極数 p によって一意に決まる。
同期速度の一般式:
ns = 120 × fp [min-1]
ns:同期速度 [min-1](rpm)
f:商用周波数 [Hz](東日本:50 Hz,西日本:60 Hz)
p:発電機の磁極数(必ず偶数)
120 = 60 × 2 の定数。60 は秒→分の換算,2 は「1サイクルの交流=1対の磁極(N極+S極)」による係数。
f = 50 Hz のとき:ns = 120 × 50p = 6000p [min-1]
f = 60 Hz のとき:ns = 120 × 60p = 7200p [min-1]
50 Hz 系統における主な同期速度一覧
磁極数 p同期速度 ns [min-1]
23000
41500
61000
8750
10600
12500
水車の設計回転速度と最も近い ns を実現する磁極数 p を選び,その ns で比速度を計算し直す。
図1
関連問題数:1

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