機械誘導機三相誘導電動機の特性★★☆☆☆
巻線形誘導電動機のトルク比例推移
概要
巻線形誘導電動機の二次抵抗を変化させることで,トルク-滑り特性曲線を比例的に横方向へ移動させる「比例推移」の原理を説明する。外部抵抗を挿入して最大トルクの発生点を制御できるため,始動特性の改善や速度制御に広く活用される。最大トルクの大きさ自体は二次抵抗の変化に依存しない点が重要である。
📖用語
滑り(s):同期速度と実際の回転速度の差を同期速度で割った無次元の量。停止時は s=1,同期速度時は s=0 となる。
停動トルク(最大トルク):誘導電動機が発生できる最大のトルク。これを超えると電動機は停止(脱調)する。
臨界すべり(sc):最大トルクが発生するすべりの値。sc = r2X2 で与えられ,二次抵抗に比例する。
比例推移:二次抵抗を変化させることでトルク-すべり特性曲線を比例的に横方向へ平行移動させる現象。
巻線形誘導電動機:回転子の巻線がスリップリングを介して外部に取り出せる構造の誘導電動機。外部抵抗を挿入できる。
トルク-滑り特性の基本
誘導電動機のトルク T は,二次抵抗 r2 と滑り s の比(r2s)に依存する。
簡略等価回路の近似式:T ∝ V2sr2(V:電源電圧一定,ωs:一定の場合)
最大トルク(停動トルク)
最大トルクが発生するすべり(臨界すべり sc):sc = r2X2(X2:二次リアクタンス)
最大トルク Tmax は二次抵抗 r2 に無関係(二次抵抗を変えても最大トルクは変わらない)。
トルク比例推移(Proportional Shifting)
巻線形誘導電動機では,外部抵抗を二次回路に挿入してトルク特性を平行移動させることができる。
•二次抵抗を k 倍にすると,同じトルクが k 倍のすべりの点で発生する
•つまり,任意のトルク点が k 倍の滑りに「比例して」移動する → 「比例推移」
比例推移の利用
| 利用目的 | 方法 |
|---|---|
| 始動トルクの改善 | 外部抵抗を大きくして始動時の最大トルクを s=1 付近に移動させる |
| 速度制御 | 外部抵抗を変えて回転速度(滑り)を調整する |
かご形との違い
かご形誘導電動機は回転子が閉じた構造のため外部抵抗を挿入できず,比例推移は利用できない。巻線形のみに適用可能。

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