電力その他絶縁材料一般★★☆☆☆
電気絶縁材料の特性と部分放電
概要
電気絶縁材料(気体・液体・固体)の基本特性と、固体絶縁材料内部のボイド(気体の空隙)で発生する部分放電のメカニズムを扱う。ボイド内は誘電率が固体より低いため電界が集中し、局所的な絶縁破壊(部分放電)が生じる。誘電率の差が電界集中の原因である。部分放電の繰り返しが最終的に全体の絶縁破壊を招く。
📖用語
ボイド(空隙・空洞):固体絶縁材料の内部に存在する微小な気体の空隙。誘電率が周囲の固体より低いため電界が集中し、部分放電の発生起点となる。
部分放電:絶縁材料全体が破壊されることなく、ボイドなど一部の箇所で局所的に生じる放電現象。長期間の繰り返しにより最終的な絶縁破壊を招く。
GIS(ガス絶縁開閉装置):SF6ガスを充填した金属容器に遮断器・断路器等を収納した開閉装置。気体絶縁材料の代表例。
OFケーブル(油入ケーブル):絶縁油を液体絶縁材料として用いた電力ケーブル。
CVケーブル(架橋ポリエチレンケーブル):架橋ポリエチレンを固体絶縁材料として用いた電力ケーブル。誘電率・絶縁破壊強度ともに高い。
比誘電率(εr):真空の誘電率に対する材料の誘電率の比。気体≈1、液体2〜3、固体2〜10。
気体・液体・固体絶縁材料の基本特性と,固体絶縁材料内部のボイド(空隙)で生じる部分放電のメカニズム。
絶縁材料の基本比較
| 材料 | 誘電率(比誘電率) | 絶縁破壊強度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 気体(空気,SF6) | 低い(εr ≈ 1〜1.003) | 低い(SF6は加圧で高い) | GIS,架空線 |
| 液体(絶縁油) | 中程度(εr ≈ 2〜3) | 中程度 | 油入変圧器,OFケーブル |
| 固体(ポリエチレン,エポキシ) | 高い(εr ≈ 2〜10) | 高い | CVケーブル,スペーサ |
ボイド内の電界集中
ボイド(気体の空隙)の誘電率は周囲の固体より低いため,電気変位ベクトル D の連続性 D = εE から,ボイド内の電界強度 Evoid が固体内より高くなる。
EvoidEsolid = εsolidεvoid > 1
部分放電とは
絶縁材料全体が破壊されることなく,ボイド(気体部)など一部の箇所で局所的に放電が生じる現象。
固体絶縁材料の劣化プロセス
①固体内に微小ボイドが形成(熱・電界・機械的応力などの長期作用)
②ボイド内の気体が絶縁破壊して部分放電が発生
③部分放電が継続・断続的に繰り返される
④固体絶縁材料の絶縁破壊(絶縁劣化の進行)
短時間では全体破壊しなくても,長時間の部分放電の積み重ねが最終的な絶縁破壊につながる。

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