理論電気・電子計測電気計測・計器の原理★★☆☆☆
可動コイル形計器と整流形電圧計の原理・特性
概要
可動コイル形計器は永久磁石の磁界中でコイルが電磁力により回転する原理で直流を測定し、分流器(並列抵抗)や倍率器(直列抵抗)で測定範囲を拡大する。整流形電圧計は交流を全波整流した平均値を検出し、正弦波実効値に較正された目盛で読む。正弦波以外の波形では波形率 Kf の違いにより誤差が生じる。
📖用語
可動コイル形計器(d'Arsonval形):永久磁石の磁界中に置いたコイルに電流を流し、電磁力による回転で指針を動かす電流計の基本形。直流の平均値を検出する。
シャント抵抗(分流器):計器のコイルと並列に接続して測定電流範囲を拡大する抵抗。コイルに流れる電流を一定以下に抑える役割を持つ。
アートン分流器(リング分流器):複数の測定範囲をスイッチで切り替えられるよう設計された分流器。単純シャントとは回路構成が異なり、計器側に固定抵抗も含まれる。
波形率(フォームファクタ):実効値を平均整流値で割った比(Kf = 実効値平均整流値)。正弦波では Kf ≈ 1.1107。整流形電圧計の目盛補正に使用される。
可動コイル形計器(d'Arsonval形)の基本原理
永久磁石の磁界中に置かれたコイルに電流が流れると,電磁力によってコイルが回転する。コイルと連動した指針が偏転角に対応した目盛を示す。
•定格電流(満偏転電流)Im:コイルが最大偏転する電流値
•コイル内部抵抗 r [Ω]
📐基本公式:分流器と倍率器
| 種類 | 接続方法 | 計算式 | 用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| 単純分流器(シャント抵抗) | コイルと並列に接続 | Rshunt = r × ImImax - Im(r:コイル内部抵抗,Im:満偏転電流,Imax:測定最大電流) | 電流測定範囲を拡大。コイル両端とシャント両端の電圧が等しい条件から算出 |
| 倍率器(直列抵抗) | コイルと直列に接続 | Rseries = VmaxIm - r(Vmax:測定最大電圧) | 電圧測定範囲を拡大。直列なので全体に同じ電流が流れる |
| アートン分流器(リング分流器) | 分流抵抗と固定抵抗をリング状に接続,スイッチで切り替え | 各測定範囲の条件を連立して解く(単純分流器の公式は使えない) | 複数の測定範囲をスイッチで切り替え可能。計器側にコイル以外の抵抗も含まれる |
アートン分流器の注意点
「切り替えスイッチ」「複数の測定範囲」がある問題では,単純分流器の公式(計器側 = コイルのみ)をそのまま使うと誤答になる。スイッチごとに「どの抵抗が計器側に含まれるか」を回路図から読み取り,各測定範囲の条件を連立して解くことが必要になる。
整流形電圧計(全波整流形)の原理
被測定電圧を全波整流(絶対値化)し,整流後の波形の平均値を検出する。目盛は「正弦波の実効値」に対応するよう較正されている。
正弦波での関係(較正の基準)
正弦波の振幅を Vm とすると:
Vavg = 2π × Vm
Vrms = Vm
波形率 Kf = VrmsVavg = π2 ≈ 1.1107
📐基本公式:整流形電圧計の指示値
指示値 = Kf × 被測定波形の平均整流値 = π2 × Vavg
正弦波以外の波形での誤差
電圧計が示す値は「真の実効値」ではない(波形率が異なるため)。

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