電力送電・配電中性点接地・保護継電器★★★☆☆
高低圧配電系統の保護継電器と非接地方式
概要
我が国の6.6kV高圧配電系統では,1線地絡電流を小さく抑えるために中性点を接地しない「非接地方式」が採用されている。地絡・短絡事故の検出には検出量や方向性が異なる複数の保護継電器(OCGR・DGR・OVGR・OCR)が用いられ,低圧配電線路の短絡保護には柱上変圧器の一次側に取り付けた「高圧カットアウト」が使われる。事故発生時は時限順送式故障区間分離方式により事故区間を自動的に分離し,健全区間を復旧する。
📖用語
非接地方式:系統の中性点を大地に接地しない運用方式。1線地絡時の地絡電流が小さく,供給継続が可能なため6.6kV高圧配電系統で採用される。
OCGR(地絡過電流継電器):零相変流器(ZCT)で検出した零相電流 I0 の大きさのみで動作する無方向性の継電器。
DGR(地絡方向継電器:Directional Ground Relay):零相電流 I0 と零相電圧 V0 の位相関係から地絡の方向を判別し,多回線配電系統で故障線路のみを選択遮断する方向性継電器。
OVGR(地絡過電圧継電器):接地形計器用変圧器(GPT)で検出した零相電圧 V0 の大きさで動作する継電器。
OCR(過電流継電器):短絡時の大電流を検出して動作する継電器。
高圧カットアウト:柱上変圧器の一次側(高圧側)に設置する開閉器。内部のヒューズが過電流・短絡時に溶断して変圧器を保護する。
時限順送式故障区間分離方式:配電線で地絡・短絡が発生した際,電源側の区間から順次再送電を試み,事故区間を自動的に検出・分離して健全区間を復旧する方式。
非接地方式の採用理由
•1線地絡電流を「小さく」抑えるため
•地絡電流が小さいため,地絡継続中でも供給継続が可能
地絡方向継電器(DGR)による保護
多回線配電系統では,故障線路と健全線路の地絡電流が「逆位相」になることを利用する。
•故障線路:地絡電流は末端(負荷側)から系統電源方向へ流れる
•健全線路:地絡電流はバンク電源から供給された充電電流
これを地絡方向継電器で判別し,故障線路のみを選択遮断する。
保護継電器の比較
| 継電器 | 検出量 | 方向性 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| OCGR | 零相電流 I0 | 無方向性 | 高圧受電設備の地絡保護 |
| DGR | 零相電流 I0 及び零相電圧 V0 | 方向性あり | 高圧受電設備・配電線の地絡保護 |
| OVGR | 零相電圧 V0 | 無方向性 | 配電用変電所の地絡検出(DGRと組み合わせ) |
| OCR | 過電流 | 無方向性 | 配電線・高圧受電設備の短絡保護 |
低圧配電線路の短絡保護
柱上変圧器の二次側(低圧側)で短絡故障が発生した場合,保護装置として「高圧カットアウト」が使われる。
•高圧カットアウトは柱上変圧器の「一次側(高圧側)」に取り付けられる
•低圧側の過電流・短絡時は変圧器一次側の電流が増大し,高圧カットアウト内のヒューズが溶断する
•「ケッチヒューズ」は低圧配電の引込み部などに使用する別の機器
使い方・ポイント
•OCGRは無方向性のため,構内の高圧ケーブルのこう長が長く対地静電容量が大きい場合,外部事故時の充電電流を零相電流として検出し不要動作することがある
•配電用変電所では,各配電線にDGRとOVGRを組み合わせて設置し,事故フィーダを選択的に遮断する

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