理論電気回路回路網・過渡現象★★★☆☆
スイッチ投入による回路の分離と過渡応答の重ね合わせ
概要
理想スイッチ(内部抵抗0)が閉じることで回路の接続点電位が基準電位(0 V)に固定される場合,その接続点を境にコイル側とコンデンサ側の枝が独立した1次遅れ回路(RL・RC)に分離される。この場合,全体の応答は直列RLC回路の減衰係数・固有角周波数による振動判定ではなく,2つの独立した1次遅れ応答の重ね合わせ(和)として求める。
📖用語
理想スイッチ:内部抵抗が0で,閉じた瞬間に完全な短絡となるスイッチ。接続点の電位を基準電位に固定する。
重ね合わせ:複数の独立した応答の和として全体の応答を求める解析手法。
時定数:1次遅れ回路の応答の速さを表す量。RL回路では LR,RC回路では R × C で定義される。
解析の手順
1. スイッチ投入前の定常状態から,コイル電流・コンデンサ電圧の初期値を求める。
2. スイッチ投入後,接続点の電位が理想スイッチによって固定されるかを確認する。固定される場合,コイル側とコンデンサ側は互いに独立した1次回路として振る舞う。
3. コイル側は初期値を用いたRL回路の式,コンデンサ側は初期値を用いたRC回路の式でそれぞれ解く。
4. 求めたい電流・電圧が複数の枝にまたがる場合は,キルヒホッフの法則に従って各枝の応答を重ね合わせる。
📐基本公式:1次遅れ回路の応答
RL回路(電源電圧V,初期電流0,時定数 τ = LR):iL(t) = VR(1 - e-t/τ)
(V:電源電圧 [V],R:抵抗 [Ω],L:インダクタンス [H],t:時間 [s])
RC回路(初期電圧vC(0),放電,時定数 τ = R × C):iC(t) = vC(0)R × e-t/τ
(vC(0):コンデンサの初期電圧 [V],R:抵抗 [Ω],C:静電容量 [F])
使い方・ポイント
•接続点の電位が理想スイッチによって固定される回路は,コイルとコンデンサが直接結合した2次系(直列RLC振動回路)にはならない。減衰係数と固有角周波数による不足制動・臨界制動・過制動の判定はこの構成には使えない。
•時定数の異なる2つの1次遅れ応答の和は,一時的に最終値を超えたり下回ったりする「オーバーシュート/アンダーシュート」を示すことがあるが,これは減衰正弦波による真の振動とは異なる現象である。

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