機械同期機同期発電機・同期電動機の特性★★☆☆☆
交流機の電機子巻線法(分布巻・短節巻)
概要
交流機(同期機・誘導機)の電機子巻線法として,分布巻と短節巻の概念・効果・使用目的を説明する。分布巻はコイルを複数スロットに分散させて高調波を抑制し,短節巻はコイルピッチを極ピッチより短くして電圧波形をさらに改善する。巻線係数(kw)によって誘導起電力が低下する代わりに,波形品質と省材料化の恩恵が得られる。
📖用語
分布巻:1極1相のコイルを複数のスロットに分散して配置する巻線法。各極各相のスロット数が2以上となる。
集中巻:1極1相のコイルを1つのスロットに集中して巻く巻線法。各極各相のスロット数は1。
短節巻:コイルピッチ(コイルが跨ぐスロット数)を極ピッチより短くした巻線法。高調波を低減できる。
全節巻:コイルピッチ = 極ピッチとした巻線法。誘導起電力は最大だが高調波が多い。
巻線係数(kw):分布巻と短節巻の組み合わせによる起電力の低減を表す係数。kw = kd × kp(< 1)。
電機子巻線法の種類
交流機(同期機・誘導機)の電機子巻線法には主に以下がある。
| 巻線法 | 説明 | 各極各相スロット数 |
|---|---|---|
| 集中巻 | 1極1相のコイルを1つのスロットに集中して巻く | 1(スロット数 = 1) |
| 分布巻 | 1極1相のコイルを複数のスロットに分散して配置する | 2以上 |
間違えやすいポイント:分散巻 vs 分布巻
「分布巻」が電気機器における正式な学術用語・電験用語である。
「1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置する」巻線法の名称は必ず「分布巻」と覚えること。電験三種では「分布巻」が正式な学術用語として使われる。
短節巻(Fractional-pitch winding)
分布巻において,コイルピッチ(コイルが跨ぐスロット数)を極ピッチ(全スロット数極数)より短くした巻線法。
| 観点 | 特徴 |
|---|---|
| 誘導起電力 | 全節巻より小さくなる(巻線係数 < 1) |
| コイル端部 | 短くできる → 銅材料の節約,機器の小型化 |
| 電圧波形 | 高調波成分が低減され波形が改善される(特定の高調波を消去できる) |
間違えやすいポイント:電圧波形 vs 力率
短節巻の主な利点は「電圧波形の改善(高調波抑制)」であり,「力率の改善」ではない。
高調波を抑制することで歪み率は改善しうるが,変位力率(cos φ)の改善とは別概念である。
短節巻によって誘導起電力の高調波成分が低減されることで波形が正弦波に近づくが,機器の変位力率そのものは短節巻の採否によって変化しない。
全節巻(Full-pitch winding)との比較
全節巻はコイルピッチ = 極ピッチ(コイルが正確に半周分を跨ぐ)。起電力は最大だが高調波が多い。
短節巻は起電力が少し小さいが,高調波が少なく波形が良い。一般的な機器では短節巻が多用される。
📐基本公式:巻線係数
分布巻と短節巻を組み合わせたときの起電力の低減を表す係数:kw = kd × kp
•kd:分布係数(< 1,分布巻による影響)
•kp:短節係数(< 1,短節巻による影響)

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