法規電気設備技術基準発電設備・分散型電源・系統連系⚖️ 電気設備の技術基準の解釈★★☆☆☆
高圧連系時の系統連系用保護リレー(電技解釈)
概要
電技解釈第229条は,高圧系統に分散型電源を連系する場合に設置すべき保護リレー等を,連系方式(逆変換装置を用いる/用いない)と逆潮流の有無に応じて229-1表で規定する。発電電圧の異常は過電圧・不足電圧リレーで,系統側の短絡・地絡事故は不足電圧・短絡方向・地絡過電圧リレーで,単独運転は周波数上昇・周波数低下・逆電力リレーおよび転送遮断装置又は単独運転検出装置で検出する。
📖用語
電技解釈:「電気設備技術基準の解釈」の略称。系統連系に関する保護装置の要件も本文書で規定されている。
逆変換装置:直流電力を交流電力に変換する装置(インバータ)。太陽光発電・蓄電池等の直流電源を系統に連系する際に使用する。
逆潮流:分散型電源が自家消費を超えて発電し,余剰電力を系統(配電線)側へ流す現象。
地絡過電圧リレー(OVGR):地絡事故発生時に生じる零相電圧(対地電圧の不平衡)を検出して動作する保護リレー。
短絡方向リレー:短絡電流の大きさと方向から,連系している系統側の短絡事故を検出する保護リレー。同期発電機を用いて連系する場合に設置する。
逆電力リレー:分散型電源から系統側へ向かう電力(逆潮流)を検出する保護リレー。単独運転の検出等に用いる。
単独運転:分散型電源が系統から切り離された状態にもかかわらず,周辺の負荷に電力を供給し続ける異常運転状態。
転送遮断装置:配電用変電所の遮断器が動作した信号を通信回線で分散型電源側に伝送し,連系を解列させる装置。
⚖️条文(要約)
高圧連系時の系統連系用保護装置(電技解釈 第229条・229-1表)
229-1表に規定する保護リレー等を受電点その他故障の検出が可能な場所に設置すること:
| 検出する異常 | 種類 | 逆変換装置を用いて連系:逆潮流有り | 逆変換装置を用いて連系:逆潮流無し | 逆変換装置を用いずに連系:逆潮流有り | 逆変換装置を用いずに連系:逆潮流無し |
|---|---|---|---|---|---|
| 発電電圧異常上昇 | 過電圧リレー | ○※1 | ○※1 | ○※1 | ○※1 |
| 発電電圧異常低下 | 不足電圧リレー | ○※1 | ○※1 | ○※1 | ○※1 |
| 系統側短絡事故 | 不足電圧リレー | ○※2 | ○※2 | ○※9 | ○※9 |
| 系統側短絡事故 | 短絡方向リレー | — | — | ○※10 | ○※10 |
| 系統側地絡事故 | 地絡過電圧リレー | ○※3 | ○※3 | ○※11 | ○※11 |
| 単独運転 | 周波数上昇リレー | ○※4 | — | ○※4 | — |
| 単独運転 | 周波数低下リレー | ○ | ○※7 | ○ | ○※7 |
| 単独運転 | 逆電力リレー | — | ○※8 | — | ○ |
| 単独運転 | 転送遮断装置又は単独運転検出装置 | ○※5※6 | — | ○※5※6※12 | — |
※1:分散型電源自体の保護用に設置するリレーにより検出し,保護できる場合は省略できる。
※2:発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し,保護できる場合は省略できる。
※3:構内低圧線に連系する場合であって,分散型電源の出力が受電電力に比べて極めて小さく,単独運転検出装置等により高速に単独運転を検出し,分散型電源を停止又は解列する場合又は地絡方向継電装置付き高圧交流負荷開閉器から,零相電圧を地絡過電圧リレーに取り込む場合は,省略できる。
※4:専用線と連系する場合は,省略できる。
※5:転送遮断装置は,分散型電源を連系している配電線の配電用変電所の遮断器の遮断信号を,電力保安通信線又は電気通信事業者の専用回線で伝送し,分散型電源を解列することのできるものであること。
※6:単独運転検出装置は,能動的方式を1方式以上含むものであって,系統のインピーダンスや負荷の状態等を考慮し必要な時間内に確実に検出できること,頻繁な不要解列を生じさせない検出感度であること,能動信号は系統への影響が実態上問題とならないものであることを満たすものであること。
※7:専用線による連系であって,逆電力リレーにより単独運転を高速に検出し,保護できる場合は省略できる。
※8:構内低圧線に連系する場合であって,分散型電源の出力が受電電力に比べて極めて小さく,受動的方式及び能動的方式のそれぞれ1方式以上を含む単独運転検出装置等により高速に単独運転を検出し,分散型電源を停止又は解列する場合は省略できる。
※9:誘導発電機を用いる場合は,設置すること。発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し,保護できる場合は省略できる。
※10:同期発電機を用いる場合は,設置すること。
※11:発電機引出口に設置する地絡過電圧リレーにより,系統側地絡事故が検知できる場合又は地絡方向継電装置付き高圧交流負荷開閉器から,零相電圧を地絡過電圧リレーに取り込む場合は,省略できる。
※12:誘導発電機(二次励磁制御巻線形誘導発電機を除く。)を用いる風力発電設備その他出力変動の大きい分散型電源において,周波数上昇リレー及び周波数低下リレーにより単独運転を高速かつ確実に検出し,保護できる場合は省略できる。
使い方・ポイント
•過電圧・不足電圧リレーが監視するのは「発電電圧」(分散型電源の出力電圧)。
•短絡事故・地絡事故が起きるのは「系統側」であり,逆変換装置を用いて連系する場合は不足電圧・地絡過電圧リレーで,逆変換装置を用いずに連系する場合(同期発電機等)は短絡方向リレーも追加で必要となる。
•単独運転の検出には周波数リレー(上昇・低下)に加え,逆変換装置を用いない連系では逆電力リレーも用いられる。
•単独運転検出装置は能動的方式を1方式以上含むものであること。
•電験三種で頻出するのは「逆変換装置を用いて連系・逆潮流有り」の列(太陽光発電等インバータ連系の典型パターン)。同期発電機を用いた連系(短絡方向リレー・逆電力リレーが関わる列)は出題頻度が低いが,条文としては存在する。


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