理論電気回路交流回路★★☆☆☆
非正弦波交流の電力計算
概要
非正弦波交流の電力計算では,電圧と電流をそれぞれ基本波と高調波に分解し,同一周波数成分同士の積のみが平均電力に寄与するという直交性の原理を使う。異なる周波数成分間では平均電力がゼロになるため,周波数ごとに独立して電力を計算し合算する。
📖用語
基本波:非正弦波を構成する正弦波成分のうち,最も低い周波数(角周波数 ω)の成分。第1次成分とも呼ぶ。
高調波:基本波の整数倍の周波数を持つ正弦波成分。基本波の n 倍の周波数を持つものを「第 n 次高調波」と呼ぶ。
直交性:異なる周波数の正弦波を1周期分かけ合わせると平均値がゼロになる性質。これにより異なる周波数成分間では電力に寄与しない。
非正弦波交流とは
基本波と高調波(整数倍の周波数成分)の重ね合わせで表される周期的電圧・電流。
e = E1 sinωt + E3 sin(3ωt + φ3) + ⋯
i = I1 sin(ωt + θ1) + I3 sin(3ωt + θ3) + ⋯
基本波・高調波の命名規則
角周波数 ω の整数倍 nω の成分を「第 n 次成分」と呼ぶ。
•n = 1(sinωt)→ 基本波(最低周波数の成分)
•n = 2(sin2ωt)→ 第2高調波
•n = 3(sin3ωt)→ 第3高調波
•n = k(sinkωt)→ 第k高調波
「第3高調波」は係数が 3 の sin3ωt 成分のことで,基本波の3倍の周波数を持つ。式に sin2ωt の項がなければ第2高調波は存在しない。実際の非正弦波ではすべての次数が揃っているとは限らず,存在する次数だけを計算対象とする。
電力計算の基本原則
異なる周波数成分の間では平均電力はゼロになる(直交性)。
同一周波数成分同士の積だけが平均電力に寄与する。
📐基本公式:平均電力
P = E1 I12 cosθ1 + E3 I32 cosθ3 + ⋯
(En,In:各次成分の振幅,θn:同次成分の電圧・電流間の位相差)
実効値を使う場合:
P = V1 I1 cosθ1 + V3 I3 cosθ3 + ⋯
(Vn = En,In = 振幅 が実効値)
位相差の読み取り方
sin(ωt) と sin(ωt − π6) の位相差は π6 → cosθ = cos(π6) = 2
sin(3ωt − π6) と sin(3ωt + π6) の位相差は π3 → cosθ = cos(π3) = 12
使い方・ポイント
•まず各周波数成分(基本波・第3高調波など)を抽出して対応付ける
•異なる周波数成分間の積は平均ゼロ(計算に含めない)
•各成分の位相差を正確に読み取ることが計算の鍵

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