鉄損の2種類
| 種類 | 発生原因 | 比例関係 | 低減策 |
|---|
| ヒステリシス損 Ph | 磁区が交番磁界で方向転換する際のエネルギー損失(B-H ループ面積に比例) | Ph ∝ f × Bmn(n ≈ 1.6〜2.0) | 磁化しやすい材料(ケイ素鋼板)を使用 |
| 渦電流損 Pe | 磁束変化による誘導起電力で鉄心内に渦電流が流れ,電気抵抗で消費される | Pe ∝ f2 × Bm2 × t2(t:板厚) | 薄い板に切り分け,表面を絶縁して積層 |
(1) 鉄・ニッケル・コバルトは強磁性体 → 正しい
強磁性体(ferromagnetic material)とは,外部磁界により強く磁化される物質。
鉄(Fe),ニッケル(Ni),コバルト(Co)及びこれらの合金が代表例。
(2) 交番磁界 → ヒステリシス損+渦電流損(鉄損)が生じて発熱 → 正しい
交番磁界を加えると,磁区の方向変化(ヒステリシス損)と
誘導起電力による渦電流(渦電流損)の両方が発生し,鉄損として熱に変わる。
(3) 「磁束の周りに起電力が生じる → ヒステリシス損」→ 誤り(正答)
「磁束の変化に伴い起電力が生じる」のはファラデーの電磁誘導法則であり,
これにより渦電流が流れて生じる損失は「渦電流損」である。
ヒステリシス損は磁区が方向転換する際の摩擦的エネルギー損失であり,
誘導起電力とは無関係。
→ 正しくは「磁束の周りに起電力が生じることで渦電流損が発生する」
(4) ヒステリシス損 ∝ B-H ループ面積 × 周波数 → 正しい
B-H カーブの囲む面積はヒステリシスループ面積に相当し,
これに周波数を掛けた値に比例するのがヒステリシス損の特性。
(5) 渦電流損の低減:薄く・絶縁・磁束方向に平行積層 → 正しい
薄い板に切り分けて積層することで渦電流の経路(板厚 t)を小さくし,
各板の表面を絶縁処理することで板間の渦電流も抑制できる。
「磁束方向に対して平行に積層」は,板の面内に誘起される渦電流を板の厚み方向で制限する正しい積層方向。
正答:(3)