電力送電・配電送電特性・電圧降下・電力損失★★☆☆☆

直流送電の特徴と用途

概要
直流送電(HVDC)は,交流を直流に変換して送電し受電側で再び交流に変換する方式で,長距離・大容量送電や異周波数系統の非同期連系に使われる。交流送電と比べてリアクタンスがなく安定度制約がない一方,大容量遮断が困難で変換設備が必要という短所もある。直流電圧の最大値が同じ実効値の交流より低い点(絶縁設計が容易)も重要な特徴。
📖用語
HVDC(High Voltage Direct Current)高圧直流送電。交流を直流に変換して送電し,受電側で再び交流に変換する方式。長距離・大容量送電や非同期連系に用いる。
サイリスタ交流を直流に(整流器)または直流を交流に(インバータ)変換するために使用される半導体素子。直流送電の変換器の主要素子。
フェランチ効果軽負荷時または無負荷時に,送電線の対地静電容量による充電電流の影響で受電端電圧が送電端電圧より高くなる現象。直流送電では発生しない。
整流器(コンバータ)交流を直流に変換する電力変換装置。直流送電の送電側に設置する。
インバータ直流を交流に変換する電力変換装置。直流送電の受電側に設置する。
直流送電(HVDC:High Voltage Direct Current)は,交流を直流に変換して送電し,受電側で再び交流に変換する方式。長距離・大容量送電や非同期連系に使用される。
直流送電 vs 交流送電の比較
観点交流送電直流送電
非同期連系不可(周波数・位相の整合が必要)可能(50/60 Hz 系統の連系に使用)
リアクタンスあり(電圧降下・無効電力損失あり)なし(抵抗のみ)
安定度制約電力角 δ の制約あり(脱調の恐れ)制約なし(長距離送電に有利)
電圧の最大値(同じ実効値の場合)最大値 = 2 × 実効値(大きい)最大値 = 実効値(小さい)→ 絶縁設計が容易
フェランチ効果あり(軽負荷時に受電端電圧が上昇)なし
地中・海底ケーブル充電電流が大きく長距離に不向き充電電流なし → 長距離海底送電に有利
遮断電流零点で消弧できる(容易)電流零点なし(大容量遮断が困難)
高調波問題なし変換器(サイリスタ)から発生 → フィルタが必要
変換設備不要整流器・インバータが必要(設備費が高い)
無効電力制御可能困難(有効電力のみ制御が基本)
代表的な直流送電の用途
長距離大容量送電(海底ケーブル,地中ケーブル)
異周波連系(北海道本州間,周波数変換所)
大容量直流連系(欧州 HVDC グリッド等)
再生可能エネルギー(洋上風力等)の接続
図1
関連問題数:1

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