電力送電・配電送電特性・電圧降下・電力損失★★☆☆☆

架空送電線路の振動現象

概要
架空送電線路には,風や着氷雪の影響で微風振動・ギャロッピング・サブスパン振動の3種類の振動現象が発生する。それぞれ原因・振動の周波数と振幅・発生条件・対策が異なり,名称と特徴の対応を正確に区別することが重要。ダンパは微風振動対策,スペーサはサブスパン振動対策,相間スペーサ等はギャロッピング対策に使われる。
📖用語
微風振動(エオリアン振動)一様な微風(風速 1〜10 m/s 程度)により電線背後にカルマン渦が生じ,電線が高周波・小振幅で上下振動する現象。ダンパで対策する。
ギャロッピング電線への着氷雪で断面形状が非対称になったときに横風の揚力で発生する,低周波・大振幅の上下振動。相間スペーサ等で対策する。
サブスパン振動複導体送電線の素線間の空力干渉(後流効果)により素線単位で発生する振動。スペーサで対策する。
カルマン渦流れの中の物体の背後に交互に発生する渦列。この渦が周期的に作用することで電線の微風振動が起きる。
ダンパ(ストックブリッジダンパ)電線の振動エネルギーを吸収して微風振動による断線を防ぐ目的でクランプ付近に取り付ける錘状の制振装置。
複導体1相あたり複数の素線を一定間隔(スペーサで固定)で並べた送電線。コロナ放電抑制・送電容量増大のために超高圧線で採用される。
架空送電線路とは
電線(導体)を鉄塔や電柱の間に空中で張り渡し,大電力を遠距離に送る送電設備。地中ケーブルと対比して「架空」と呼ぶ。主な構成要素は電線・鉄塔・がいし(碍子)・架空地線(避雷線)。
架空送電線路には,風・着氷雪などにより様々な振動現象が発生する。振動の種類・原因・対策を正確に区別することが重要。
振動の種類と比較
項目微風振動(エオリアン振動)サブスパン振動ギャロッピング
原因電線後方に発生するカルマン渦(風速 1〜10 m/s 程度の一様な微風)による共振複導体送電線において,素線間の空力干渉(後流効果)により発生電線への着氷雪(非対称な断面形状となる)+ 横風による揚力
特徴高周波数(5〜150 Hz 程度)・小振幅の上下振動中程度の周波数(1〜3 Hz);サブスパン単位で振動低周波数(0.1〜3 Hz 程度)・大振幅(数十 cm〜数 m)の上下振動
場所スパン全体複導体の素線間スパン全体(波長がスパン長程度)
被害長期的な疲労による電線の断線(クランプ部での断線が多い)素線同士の衝突・摩耗相間短絡,がいし・鉄塔への衝撃
対策ダンパ(ストックブリッジダンパ等)を取り付けて振動エネルギーを吸収するスペーサの取り付け(間隔・種類の最適化)相間スペーサ,ねじれ防止デバイス,ルーズスペーサ(ギャロッピング防止スペーサ)
覚え方のポイント
「微風」→「微風振動」(カルマン渦,ダンパで対策)
「着氷雪 + 横風」→「ギャロッピング」(大振幅,相間スペーサ等で対策)
「複導体の素線間」→「サブスパン振動」(スペーサで対策)
図1
関連問題数:1

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